研究課題/領域番号 |
62560267
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
畜産学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮本 元 京都大学, 農学部, 教授 (00026618)
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研究分担者 |
佐藤 英明 京都大学, 農学部, 助教授 (80093243)
石橋 武彦 九州東海大学, 農学部, 教授 (20031156)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1989年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1988年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1987年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 家畜卵巣 / 卵巣機能 / グラ-フ卵胞 / 排卵 / 還流培養 / 培養液 / 卵巣組織 / 組織化学 / 培養装置 / グラーフ卵胞 / 組織学 / ヤギ卵巣 / 卵細胞の成熟 / pH / ブドウ糖 |
研究概要 |
卵巣に含まれる数十万の卵細胞の大部分は個体に発生する機会を得ずに死滅する。卵巣における排卵やステロイドホルモンの生成などの機構は十分には解明されていない。家畜卵巣の機能を明かにし卵細胞の有効利用をはかる手段として卵巣の還流培養装置を試作し、ヤギ卵巣の還流培養を試みた。培養装置は、卵巣を入れる卵巣容器、酸素化装置をかねた還流培養液容器、ロ-ラ-ポンプ、ガスボンベ(95%O_2、5%CO_2)などからなっている。培養液にはTCM199を用い、10〜20%ヤギ血清を含む場合と含まない場合があった。一部の実験ではこれに6%デキストラン、6%グルコ-ス、3.5%PVP、インスリン、ヘパリンを加えた。培養液のpHを調整するため、一部の実験ではHEPESを加えた。2.5〜7時間の還流培養によってグラ-フ卵胞は膨潤し、卵巣に水腫が認められた。グラ-フ卵胞をもった卵巣を用いた9回の実験のうち1回のみグラ-フ卵胞(2個)が破裂した。しかしこの破裂は自然排卵でなく、おもに物理的要因によるものと思われる。還流培養中も卵巣の解糖能は維持されていた。光顕レベルでは、結合組織の細胞間隙は培養によって大きくなったが、卵胞の顆粒層細胞、卵胞膜内層細胞は還流卵巣と対照との間に形態的差異は見られなかった。両者間には3β-HSD、17β-HSD、G6PDH活性などの強さにも差異は認められなかった。しかし電顕レベルでは、還流卵巣の顆粒層細胞の間隙が広がり、細胞が収縮した。これらの細胞の核は収縮し不整形になり、細胞の変性を示している。これらの組織学的結果は、現在の実験条件下ではヤギ卵巣の還流培養条件が不十分であり、改善の余地が大きいことを示している。還流培養装置と培養液の組成をさらに改良すれば、家畜卵巣の還流培養法は、卵巣機能の解明と卵細胞の効率的利用をはかるための有益な手段として使用できるであろう。
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