研究概要 |
体重大小方向へ選抜したウズラについて, 1)筋肉蛋白質代謝回転速度の評価, 2)筋肉腺維組織の形態的比較, 3)筋肉組織内のプロティナーゼ活性の系統間の比較を行なった. その結果の大要は次のとおりである. 1.筋肉蛋白質の代謝回転度は, 幼若期には高く, 週齢を追うにしたがって低下する傾向が見られた. また, 筋肉蛋白質の合成速度(Ks)と分解速度(Kd)には系統間差が存在することが判明した. すなわち, 幼若期には, 体重の大きいLL系統は体重の小さいSS系統に比較して, 合成速度が高く, また, 成熟期では, SS系統は他系統に比べてKs, Kd共に高い値を示すことが判明した. 2.体重の大, 中, 小, 3系統のウズラの筋肉腺維を電子顕微鏡で観察した結果, 筋腺維の形態においては系統間で明瞭なちがいは認められなかった. 3.筋肉蛋白質の分解速度に関与していると思われる, 筋肉内の酸性プロティナーゼおよびアルカリ性プロティナーゼ活性について, 週齢に伴う変化や系統差ならびに性差について分析を行った. いづれの酵素においても, 成長の旺盛な幼若期に高い値を示し, 週齢が進むにしたがって, それぞれの活性値は低下した. また, つずれの週齢においても, 筋肉内プロティナーゼ活性には性間差は認められなかった. これらの酵素活性は, 選抜系統間で異り, その傾向は, 筋肉蛋白質の分解速度とほぼ平行していた. これらの結果から, 筋肉蛋白質の分解速度は筋肉内のプロティナーゼ活性と深い関連を有していることが示唆された.
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