研究概要 |
鶏の孵化直後の栄養(初期栄養), 生理および代謝を詳細に解明することにより, 鶏の初期栄養の特異性と意義をその生存期間全体の中で把握して確定し, さらに, 成長と代謝生理を初期栄養により任意に制御することを目的とした. 本年度は, ブロイラーの孵化直後のエネルギーおよび脂質代謝の変動を調査し, また真の代謝エネルギー(True metaboligable energy,TME)の測定法を開発する. さらに, 初期栄養水準を任意に変化させた場合のエネルギー代謝の解析を試みた. ブロイラーの成長は孵化後3日齢までゆるやかであったが, その後14日齢まで直線的(約22g/日)に増加した. 代謝サイズ当りの飼料エネルギーの摂取速度は孵化後より急激に上昇し, 9日齢で約2.8KCAL/g^<0.75>の最高と達し, その後徐々に低下した. 飼料エネルギーの代謝性は約80%と非常に高いが, 4日齢で63%の最低に達し, その後上昇するという大きな日間変動を示した. 屠体のエネルギー含量は孵化後より上昇し, 14日齢では孵化時に比べて約65%上昇し, これは脂質(特にトリグリセリド画分)の増加に依存していた. 孵化直後のヒナのエネルギー代謝を一日毎に明らかにする目的で, 1日単位で測定可能なTME法の適用の可否を検討した. 絶食後のエネルギーの排泄パターンについて調べると, 12時間後までの排泄が極めて多く, 24時間以降はほぼ一定となった. 従って, TME測定のための絶食時間は24時間で充分であると考えられた. 給餌後72時間の排泄エネルギーを100%とすると, その95〜100%が給餌後36時間に排泄された. この事から, 孵化直後のヒナを含めて, 採糞時間として36時間が一つの指標となり得る. ブロイラーヒナの孵化後より10日間だけヤシ油を含む飼料を給与すると, 9週齢時の体重が増加したが, 脂肪蓄積量には大きな変化がみられなかった. アルファルファミール給与では9週齢時の脂肪蓄積が減少した.
|