研究概要 |
鶏における腫瘍増殖関連糖蛋白質(105Kgp)に関する基礎的研究を実施し, 下記の事項を明らかにした. (1) 105Kgpの精製:イモビライン電気泳動法及び抗105Kgpモノクローナル抗体を用いたアフィニティ・クロマトグラフィによって, 鶏血清105Kgpの精製法を確立した. (2) 精製105Kpgの物理化学的諸性状について, 105Kpgの細胞増殖活性を示標として検討し, 105Kpgは耐熱性糖蛋白質であり活性発現にはその高次構造を必要とすることを明らかにした. (3) 血清中105Kpgの定量法を検討し, 抗105Kpgモノクローナル抗体及び抗105Kpgポリクローナル抗体を用いた2抗体法によるELISAの有用性を明らかにした. (4) 精製105Kpgの細胞増殖活性は, 鶏細胞に対する種特異性が高く, かつ鶏リンパ芽球様細胞株や鶏胎児細胞のようなgrowing Typeの細胞に対してその活性は顕著であった. (5) 酵素免疫組織学的手法を用いて, 腫瘍中に105Kpg強陽性細胞を見い出した. 陽性細胞は腫瘍内崩壊部位に浸潤している大型細胞であったが, 細胞を同定するまでには至らなかった. すでに鶏マクロファージが105Kpg陽性であることを照明してあることから, この大型浸潤細胞も同様にマクロファージである可能性は高いと思われる.
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