研究概要 |
単クローン抗体は, 抗原解析, 精製, 表面抗原認識による細胞の同定等に必要である. 特にTリンパ球のサブセットの認識にはヒトのOKTおよびLeuシリーズならびにマウスのLy抗原系が確立され, さらに各動物リンパ球に対しての単クローン抗体の開発がなされつつある. 豚リンパ球についてはJonjic(1984), Pescovitz(1984), Hammerberg(1986)らがそのサブセットについて検討しているが, いまだ実用化されるには至っていない. 今回私共は豚末梢血リンパ球を免疫細胞としてTリンパ球に対する単クローン抗体の作成を試みた. 採血混合血液からりんぱ球層を分離後, 単球および好中球の除去を目的としてカルボニル鉄を添加し, 37°C45分間インキュベーションを行なった. その後Ficoll Paqueでリンパ球のみを集め, 抗豚IgG, IgMおよびIgAを吸着体としたcell affinity chromatographyでIg陽性細胞を除去し, 溶出リンパ球(T細胞分画:non B細胞)を免疫細胞とした. これをBALB/Cマウスに免疫し最終免疫の4日後に脾細胞を得た. 脾細胞とP3UI細胞と5:1の割合でPEG4000を用い融合を行なった. これをHATで選択後軟寒天ゴロニー形式法を用いてクローニングを行ない, スクリーニングは豚胸腺細胞, 脾細胞およびESK細胞をポリピニールクロライド製マイクロタイタープレートに固相させ, 酵素抗体法で実施した. cell affinity chromatography後溶出したT細胞分画は全リンパ球数の50.6±6.8%であった. また1547個のクローン細胞から豚胸腺細胞(+), 豚脾細胞(+)およびESK細胞(-)が32個, 豚胸腺細胞(+), 豚脾細胞(-)およびESK細胞が109個分離された. これらの細胞株に対する豚末梢血のE-Rosset形成細胞との反応性およびマウスIgサブクラスの分類も同時に行ない, さきにPescovitzの検討した単クローン抗体とも比較しより正確な豚リンパ球のサブセットの確立を目指している.
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