研究概要 |
シカクマメは作物全体を食用にすることができる. 特に種子はタンパク質, 脂肪, 糖質, カルシウム等の含量が多い. 1975年に米国科学アカデミーがこのことに着目し, 21世紀の食糧問題打開のための主要作物として世界に紹介して以来, 世界各国で試作, 研究が行われるようになってきた. 本研究もこのことに着目し, 1.光合成, 蒸散, 葉温について調査し, その成育特性を明らかにした. また他方, 2.実際栽培におけるかんがいと施肥法を究明し, 実用化の栽培技術的研究も平行して行った. 1.光合成, 蒸散測度からみたシカクマメの水利用効率 九州大学で選抜したUPS90と99(F)を供試し比較を行った. その結果, 2系統間の差はUPS99(F)が光合成は高い傾向を示した. また蒸散は若干多い. しかし水利用効率(光合成/蒸散)は良かった. 同一気温に対する葉温は低かった. シカクマメの光合成適温は30°C前後と考えられた. UPS99(F)は若サヤを収穫する栽培では1〜1.2t/10aの安定収量を得ることができる多収穫系統として我が国への導入実用化の有望品種とされていることもあり, 本実験における光合成が高く, 水利用効率が良いという結果は実用栽培実験とともに一致する結果を得た. 2.シカクマメ栽培に対する最適施肥量の試験 栽培実験は4月25日は種, 11月25日実験を終了した. 堆肥は3種類を使用したが汚泥堆肥の4t区が良く, 10a当りで7.2t/10aの結果を得た. シカクマメは砂丘土壌において有機物施用効果は他の作同様に高い効果がある. 特に汚泥堆肥のような粘土質を混入された堆肥の方が高い効果が認められた. これはシカクマメが本来, 熱帯地方の多雨地帯に自主種が多いことなどからも正当な結果であると考えられる. 以上の結果から我が国での栽培は, 多量かん水と有機物多用が収量を高める.
|