研究概要 |
脳内に広く分布するγ-aminobutylic acid(GABA)は、中枢神経系における抑制性の神経伝達物質として考えられている。従来より、神経組識内GABAの検出法としては、組織をhomogenateして生化学的、酵素的に微量測定する方法と、^3H-GABAの取り込み、GABAの合成酵素であるglutamic acid decarboxylase(GAD)のRIA及び免疫組織化学などの手法により同定する方法が用いられていた。近年,GABAに対する抗体が得られたことから、これを用いて脊髄並びに脳内GABA neuronの局在及び分布を間接蛍光抗体法により免疫組織化学的に検索し、併せて脳組織内GABA含量を高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)を用いて定量を行ない、組織内GABAの検出法について総合的に検討を行なった。 1.GABAの免疫組織化学 (1)脊髄内GABA neuronの検索:ラット脊髄内におけるGABA neuronは、黄緑色のFITCの特異蛍光を発し、脊髄前角及び後角において、GABA陽性細胞とGABA陽性線維の局在を示す特異蛍光が認められた。 (2)脳内GABA neuronの検索:ラット線条体一黒質系GABA路について免疫組織化学的に検索し、GADの局在と比較検討した。その結果、線条体においてはGABA陽性細胞及び陽性線維が、黒質においては緻密層でGABA陽性線維がび慢性に緑色の蛍光を発して認められた。同一レベルにおけるGAD陽性細胞及び陽性線維は、GABAの分布とほぼ一致して認められた。 2.脳組織内GABA含量の生化学的測定 ラット脳組織を摘出後、0.6N過塩素酸でhomogenizeし10分間冷却遠心して上清を氷冷した。homogenateを100μl取り、あらかじめ調整した反応試薬(PH9.5:0.05M sodium borate 90ml,10% 0-mercaptoethanol in ethanol 1.5ml)300μlを加えてふり、反応させた。反応は5分間で終了し、直ちにHPLCに注入した。注入量は10〜25μl,retantion timeは3.40分で完全に分離した。
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