研究課題/領域番号 |
62570138
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
佐々木 實 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (10080003)
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研究分担者 |
国松 巳歳 (国松 己歳) 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70145746)
大久保 岩男 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (80152073)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
800千円 (直接経費: 800千円)
1988年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 炎症 / カルパイン / 走化性因子 / アセチル化ペプチド / ロイコエグレッシン / 免疫グロブリン |
研究概要 |
炎症を誘導するペプチド性メジエーターの多くはセリンプロテアーゼの作用により産生されることが知られている。しかし最近キニノーゲンがチオール(システイン)プロテアーゼを阻害することや、カルパインがキニノーゲンと結合した際、キニンを産生することなどが証明されてチオールプロテアーゼとキニノーゲンの炎症への関与が注目されるようになって来た。 本研究の前半ではキニノーゲンとカルパインの結合にCa^<++>が必須であり、その際カルパインの阻害とキニノーゲンの部分分解が同時におこること、また高分子キニノーゲンからキニン及びFr1・2を遊離したものは、所謂α1-チオールプロテイナーゼインヒビターであることなどが証明された。 後半においてはCa^<++>の存在下でカルパインIの自己消化により、走化性因子が産生されることが見出された。これより活性ペプチドが単離され、その全構造が決定された。単離された走化性因子の構造はAcetyl Ser-Glu-Glu-Ile-Ile-Thr-Pro-Val-Tyrであった。これは先にcDNAの塩基配列から推定されたアミノ酸配列からカルパインIのlarge subunitのN末端構造に一致したが、活性ペプチドのN末端はメチオニン残基が脱落し、且つアセチル化されていた。これは従来報告されてきた細菌由来のペプチド性走化因子がすべてホルミル化されたものであることと対比すると新しいタイプのものである。このペプチドは化学合成されてその活性が確認された。さらにカルパインIIのlarge subinit、カルパインIとIIに共通なsmall subunitのN末端ペプチドも合成されて走化活性が検索された。その結果small subunitのN末端ペプチドにも活性が見出された。 以上の研究を通してチオールプロテアーゼであるカルパインとそのインヒビターであるキニノーゲンが炎症によって少なからず重要な役割を担っていることが示された。
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