研究課題/領域番号 |
62570178
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
青木 克己 (青木 克巳) 長崎大学, 熱帯医学研究所寄生虫学部門, 教授 (90039925)
|
研究分担者 |
藤巻 康教 長崎大学, 熱帯医学研究所寄生虫学部門, 助手 (10209083)
江原 雅彦 長崎大学, 熱帯医学研究所病原細菌学部門, 助手 (70124823)
嶋田 雅暁 長崎大学, 熱帯医学研究所寄生虫学部門, 講師 (70124831)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1988年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 系状虫 / ジエチルカルバマジン / 微小管 / 糸状虫 |
研究概要 |
侍養細胞(LLC-MK_2)を用いて、系状虫(Bpahangi)感染幼虫を培養すると、幼虫は4期に発育成長する(Mak etal,1983)。この系にジエチルカルバマジン(DEC)が含まれると、幼虫の生存期間は影響を受けないが、虫体の発育成長は抑制される。この興味ある現象を追求した結果、DECが微小管機能を障害するというこれまで報告のない新しい薬理作用が明かとなった。すなわち予備実験で明かとなった1.DECは培養細胞(LLC-MK_2)の増殖を部分的に抑制すること、2.DECに暴露された細胞は球状に変化し細胞間結合が疎となること、からDECが細胞骨格の中で最も重要視される微小管を障害すると考え実験を行った結果、3.抗チュブリン抗体を用いた蛍光抗体法により、正常の細胞では細胞質内に微細網状に無数に走る微小管の像がみられるが、DECに暴露された細胞では細状の微小管は少なく、塊状の小斑点が多数細胞質内にみられる。4.DECはin vitroでブタ脳より精製されたチュブリンの微小管への重合を阻害し、またin vitroで重合された微小管を脱重合する、5.DEC存在下で重合された微小管の断端は頻々リボン状変化がみられることが明かとなった。DECを含む培養系での系状虫の発育抑制はDECによるLLC-MK_2細胞の微小管障害により、侍養細胞のもつ系状虫発育促進能力が失なわれた結果とも考えられる。 尚、本研究ではDECによる系状虫微小管機能障害を知る一手段として、DECに暴露された幼虫をスナネズミに移殖し、幼虫の発育を観察した。DEC暴露虫体はスナネズミ体内での生存率が低下し発育も抑制されている。この結果はDECはin vitroで致死的ではないが、何らかの直接的障害作用を幼虫に及ぼすことを示唆し、今後、系状虫の微小管に富む特殊器官・細胞(amphids、phasmids、排泄細胞など)へのDECの作用が注目される。
|