研究概要 |
1.コットンラット胸膣内に糸状虫Litomosoides carii(以下L.C.)を以前から検討して来たが, 今回dayマウスにも同様の手技により定量成果せしめる方法を確立した. この方法に習熟することにより4週令のマウスほぼ100%の成功率で人口気胸法による7日令幼虫の定量成果が可能である. 2.L.C.7日令幼虫は自然感染のコットンラット胸膣より採取したが, 均一な幼虫を得るために中間宿主であるイエダニおよびプール動物としてのコットンラットに感染させる過程に種々工夫を加えた. 3.これら二種類の好適(コットンラット)および非好適(dayマウス)宿主を用いた実験モデルにつき感染後の末梢血細胞成分ならびに胸膣内の細胞成分の動態を経時的に観察した. 末梢血では量宿主において一般的に好酸〓増加がみられた. 胸膣内細胞の動態は動物を開胸して胸膣を露出し, スライドガラス上にスタンプ標本を作成してギムザ染色, 肘にエオジンイエロー染色を行い〓検した. その結果, コットンラットではL.C.感染5〜6週まで胸膣内好酸〓数が増加したが, L.C.が成熟してミクロフィラリア産生を開始する時点で好酸〓が急速に見られなくなると言う興味ある結果が得られた. これに対し, マウスではL.C.感染6週で胸膣内好酸〓数はピークに達し, その後徐々に減少するのが見られた. マウス胸膣内のL.C.は感染4週以後明らかな成長阻害がおこり, 感染6週以降では徐々に死亡し, 8週までに殆んどの虫体が死亡, 吸収される. 好酸〓の変動はこれら虫体の変化と平行しているように見うけられる. これに対し, 好適宿主であるコットンラット胸膣内では当然のことながらL.C.は順調に発育した. 現在ミクロフィラリアに好酸球滅少作用があるとの想定下に実験を行っている. 4.将来, 同様の実験を行う予定のマレー糸状虫も実験室内維持法を確立し, 生物学的特性の研究を行っている.
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