研究概要 |
1.マウスH-43アロ抗原条においてはH-43^bマウスのH-43^a抗原に対するキラーT細胞(CTL)応答が, 常に自己主組織適合抗原(MHC)内のK^bクラスI抗原に拘束されて出現し, K^b以外の9種の自己クラスI抗原は拘束分子となり得ないことが分かっていたが, 今回, さらに6種の新たなクラスI抗原を追究した結果, これらも拘束分子となり得ないことが判明した. すなわちK^b分子は抗H-43^aCTL応答においてユニークであり, 今の所唯一の免疫応答遺伝子であると考えられる. 2.H-43の一大特性として, H-43のみが異るH-43^aリンパ球を免疫源とした場合は抗H-43^aCTLは惹起されず, 逆に宿主H-43^bマウスの抗H-43^aCTL応答能のみを欠落させる安定なCTL寛容が誘導されることが分かっているが, 今回は抗H-43^aCTL応答を感作させたH-43^b宿主に, 後からH-43のみが異るH-43^aリンパ球を投与することで感作が消失する事実を見出した. これがVeto機機構によることは明らかであるので, Veto機構は寛容誘導のみならず脱感作の機構としても重要であることが判明した. 3.In vitroでのVeto機構の詳細を解明の為にH-43^a発現ハイブリドーマを約20株以上検索した. これらとH-43^bリンパ球を約一日in vitroでincubateし致死量X線照射同系H-43^bマウスへ移入した. このマウスの抗H-43^aCTL応答能を追究した所, 寛容が誘導されているマウスや感作が成立しているマウスが得られた. 今後は, これら, まったく逆の能力を示すハイブリドーマの表面抗原や生化学的特性の相異を追究しVeto機構発現の根本に迫りたい.
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