研究課題/領域番号 |
62570254
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
清水 英佑 慈恵医大, 医学部, 教授 (80056879)
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研究分担者 |
鈴木 勇司 The Jikei University School of Medicine, Assistant (30163017)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 小核試験 / 赤血球 / エリスロポエチン / プロスタグランジン / インドメサシン / 一酸化炭素 / 酸素欠乏症 / 染色体異常 / 分化 / 増殖 |
研究概要 |
我々は、日常生活環境中に存在する種々化学物質の曝露を受けている。これらの中にはヒト発癌物質も存在することが知られている。一般に職業性曝露や医薬品の摂取を除けば、単一化学物質についてみるとヒトへの曝露は微量であることが多い。それにもかかわらず、大気汚染や喫煙と肺癌発生との因果関係が疫学的に証明されていることは、微量発癌物質への曝露とそれ以外の種々の要因が絡み合って発癌に至るものと考えられる。従って、個々の物質についての発癌性の有無を評価するだけでなく、発癌性や変異原性の助長因子の研究、あるいは作業環境下における複合物質曝露時の相乗・相加作用の研究などの面から、ヒトの発癌性を評価する必要がある。そこで我々はマウス骨髄細胞の染色体異常を指標としたin vivoおよびin vitro小核試験が染色体異常誘発助長因子のモニタリングとして適切な試験方法であるかを検討すると共に、染色体異常誘発作用機序の解明を行った。生体に一酸化炭素やコバルトを曝露したり酸素欠乏状態にした後に変異原物質を投与すると、変異原物質による小核誘発頻度が亢進した。この作用機序は一酸化炭素曝露等による組織の酸素欠乏状態が起き、homeostasis維持のためにerythropoietin (EPO) が産生され、骨髄中のerythropoiesisが盛んになる。その結果、変異原物質のDNAへのassessabilityが増加したり、DNA合成時のDNA修復機能が不完全なものの割合が増加するものと考える。EPOまたはEPO産生に関与しているprostaglandin・E^2の前処理では変異原物質による小核誘発頻度が亢進したが、prostaglandin合成阻害剤のindomethacin前処理では変異原物質による小核誘発能が抑制された。以上の知見から、erythropoiesisの変動が小核試験の結果に影響を与えていると考えられる。従って、変異原性助長因子のスクリーニングに小核試験を用いることは産業衛生上、環境衛生上有用であると考える。
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