研究概要 |
ベンゼンの代謝産物5物質についてサルモネラ菌(Salmonella typhimurium TA100)を用いたフラクチュエーションテストでポリ塩化ビフェニル(PCB)誘導によるラット肝ミクロゾームを用いた代謝活性化系を加えた場合と加えない場合について突然変異原性を検討したところ, カテコールはいずれの場合にも陽性を示した. またヒドロキシヒドロキノン, フェノール, ヒドロキノン, P-ベンゾキノンは代謝活性化系を加えた場合のみ変異原性を示した. スチレンとその代謝産物3種類についてTA100で検討したところ, スチレンオキシドは代謝活性化系を加えた場合と加えない場合の両者で変異原性を示した. スチレン, マンデル酸, 馬尿酸は代謝活性化系の有無にかかわらず変異原性を示さなかった. 産業衛生上は勿論のこと, 最近環境汚染物質としても問題になっているトリクロロエチレン, テトラクロロエチレンについてTA100によるフラクチュエーションテストで検討したところ, 代謝活性化系を加えた場合も加えない場合も変異原性を示さなかった. スチレン, トリクロロエチレンについて菌株を変えてTA1535で検討したが, 代謝活性化系の有無にかかわらず変異原性を示さなかった. 一方, ヒドロキシヒドロキノン, ヒドロキノンの両代謝産物はTA100でアルコール(エタノール)を用いて酵素誘導したラット肝ミクロゾームを用いた代謝活性化系を加えた場合は, PCB誘導の場合より高濃度にて陽性を示した. 従って, PCB誘導の肝ミクロゾームはアルコール誘導のものより, 変異原性を調べる上で検出感度の高いことが示唆された.
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