研究概要 |
目的 パラインフルエンザウイルス(PIV)はヒトの呼吸器感染症として重要であるが、その感染様式および基礎ウイルス学的、免疫学的解析は充分であるとは言い難い。PIVは1〜4型に分けられ、4型はさらに4A型(PIVー4A)、4B型(PIVー4B)に分けられるが、PIVの中でも特に増殖が良くない為解析が遅れている。今回、PIVー4の解析の為、サルをモデルにした実験的感染系の確立を行うと共に、モノクローナル抗体(MAb)を作製し、構成蛋白質の同定、免疫学的交差性の解析を行った。 材料と方法 実験的感染系にはニホンザルを使用し、ネブライザーを用いたPIVー4A(Mー25株)或はPIVー4B(bgー333株)を感染させ、血清中等の抗体の量、中和価、HI価等を測定した。MAbはBALB/cマウスを用いて作製した。構成蛋白質の同定は免疫沈降法により行ない、免疫学的交差性はELISA法により解析した。 成績 1.サル血清中にPIVー4A、PIVー4B特異的なIgG、IgMを検出した。IgGのピークは再感染後2週目(初感染後12週目)、IgMは初感染後2週目であった。中和抗体、HI抗体の出現カーブはIgGのものに似ていた。また鼻粘膜洗浄液、唾液中に、IgA、IgEが検出されたが、血清中には検出されなかった。 2.PIVー4Aの蛋白質は、HN:72K,Np:61K,Fo:61K,F_1:53K,47K,M:40K,PIVー4Bについては、HN:72K,Np:65K,Fo:65K,F_1:55K,47K,M:40Kであった。MAbを用いてパラミクソウイルス間の免疫学的交差性を調べると、PIVー4A,4B間で比較的交差が認められ、特にNpの交差は著しかった。またPIVー2、ムンプスウイルス、SV5と交差のあるクローンが若干認められたが、PIVー1、PIVー3、麻疹ウイルス、NbVとは全く交差性を有しなかった。
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