研究課題/領域番号 |
62570358
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小島 重幸 千葉大学, 医学部・神経内科, 助手 (40170245)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1988年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1987年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 前頭葉性運動失調 / 失調性片麻痺 / 交叉性小脳萎縮 / 皮質橋小脳路 / 大脳小脳連関 / 多発性硬化症 / 皮質・橋・小脳路 / 大脳・小脳連関 / 皮質橋路 |
研究概要 |
運動機能における大脳・小脳連関に関与していると思われる交叉性小脳萎縮と失調性片麻痺を検討し、前頭葉性運動失調の発現機序について考察した。 1.大脳脳血管障害における交叉性小脳萎縮:一側の大脳脳血管障害の患者130例を対象とし、X線CTを用いて交叉性小脳萎縮について検討した。交叉性小脳萎縮は130例中(6.2%)に認められた。8例の内訳は前頭葉と側頭葉を含んだ脳梗塞が6例と脳出血が2例(被殻1例、視床1例)であった。交叉性小脳萎縮の発現機序は皮質橋小脳路の順行性変性や小脳歯状核遠心系の逆行性変性が考えられているが、交叉性小脳萎縮が認められた8例中5例では大脳病変側の大脳脚と橋底部の萎縮がみられたのに対し、小脳萎縮側の小脳歯状核の萎縮を示唆する第四脳室の拡大・変形はいずれの例にもみられなかった。以上の結果から、交叉性小脳萎縮の発現機序として、とくに前頭葉・側頭葉からの皮質橋小脳路の順行性変性が示唆された。 2.大脳脚病変による失調症片麻痺:MRI検査で一側の大脳脚の中央部に限局した脱髄巣を有し、病巣と反対側に失調症片麻痺を呈した多発性硬化症の2例を検討した。失調症片麻痺の発現機序は交叉性小脳萎縮と同様な機序や潜在性深部知覚障害の関与が考えられている。本例の病変はMRI上、大脳脚に限局し、上小脳脚交叉部や赤核には及んでおらず、小脳歯状核遠心系の関与は否定的であった。潜在性深部知覚障害の関与も、母指探し試験や体性感覚誘発電位の結果から否定的であった。失調性片麻痺は橋底部病変や内包後脚・放線冠部病変が責任病巣と考えられているが、中脳の大脳脚病変によっても生じうるものであり、その機序として皮質橋小脳路の障害が考えられた。
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