研究概要 |
血管形成因子angiogeninの分離精製をfettらの原著に基づいて, ヒト結腸腺がん細胞のHT-29細胞の培養上清より行った. 5%牛胎児血清含有DMEM培地を用いて, 2,000ml, 6,000cm^2の培養用量のcell factoryの中で, HT-29細胞を培養増殖させ, 十分に増殖した後に牛胎児血清を含まないDMEM培地に置換. 2〜3日ごとに, その上清を集め以下のごとく, angiogeninの分離精製を行った. 5%酢酸溶液にした上清にペプスタチンAを加え, タンパク分解を抑制した上清を限外濾過で200分の1の体積に濃縮, 透析後, 凍結乾燥し保存. さらに溶解後, CMセルロース・カラムに通し吸着されたタンパクを1MNaclにて溶出し, 再び透析と凍結乾燥を行った. 8,000mlの上清より35mgの固形成分が得られた. さらに0.1%TFAと0.08%TFAに調整された2-プロパノール・アセトニトリル・水混液(5:5:4)との濃度勾配クロマトグラフィーによりFettらの原著に記載されている濃度において有意な蛋白質のピークを認め, angiogeninが分離精製されたと考えられる. しかし, 当初の細胞培養上清1,000mlあたりで得られた蛋白は0.3μg以下の少量でありangiogeninの生物学的検定に供するには十分の量ではなく, 今後, さらに細胞培養を大量に行い, 上清よりのangiogeninの分離精製を行い貯蔵蓄積する. さらに, HT-29などの腫瘍細胞以外の血管形成因子に富む組織からのangiogeninの抽出によるモノクローナル抗体の作成に着手していて, 各種の血管反応における血管の成長因子の動態について検討中である.
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