研究課題/領域番号 |
62570422
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久保田 優 京都大学, 医学部, 助手 (20142292)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1988年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1987年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | Cytosine arabinoside(Ara-C) / Ara-CTP / Hydroxyurea / l-Asparaginase / Methotrexate / DNA鎖切断 / L-asparaginase / Ara-CTP. |
研究概要 |
1.Cytosine arabinoside(Ara-C)と、Hydroxyurea(HU)、l-Asparaginase(Asp)、Methotrexate(MTX)の相乗効果の生化学的背景につき、人白血病由来の培養細胞株を用いて検討した。 2.B細胞株に於て、HU(1mM)の前処理により、Ara-Cの活性代謝産物であるAra-CTPの産生は著明に亢進したが、T細胞株では有意の変化はなかった。その機序として、Ara-Cリン酸化の律速段階であるDeoxycytidene(CdR)kinaseのHU処理による活性化が考えられた。本研究から、それは従来いわれているピリミジンdNTPプールの変化(dCTPの低下・TTPの上昇)そのものより、リボヌクレオチド還元酵素の抑制を介したde novo CdRの産生低下によることが明らかとなった。 3.l-Aspとの相乗作用の検討では、まずl-Aspの抗腫瘍効果が、細胞内のアスパラギン合成酵素の活性と逆相関することを、l-Asp耐性株を作り明らかにした。これらを用いて、l-Asp前処理のAra-C代謝(Ara-CTPの産生・Ara-CのDNAへの取り込み)への影響を検討したが、l-Asp処理による有意の変化は無かった。 4.MTXとAra-Cの相乗効果は、Birnboimらの方法を用いて測定したDNA鎖切断を指標にして検討した。MTX(1μM)→Ara-C(10μM)の順で細胞を処理すると、各々の薬剤単独に比べ著明にDNA鎖切断が増加したが、Ara-C→MTXの順では有意の増強効果は見られなかった。その作用は、MTXの濃度依存性で、Hypoxanthine+Thymidine、或いは、Leucovorinの添加により消失した。MTXとAra-Cの相乗効果の生化学的機序の研究は、従来Ara-CTPの産生及びそのDNAへの取り込みの変化に着目してきた。本研究は、DNA鎖切断作用に焦点をあわせたユニークなものである。
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