研究課題/領域番号 |
62570426
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河口 義典 (河口 美典) 広島大学, 医学部, 助手 (20186076)
|
研究分担者 |
田中 丈夫 国立呉病院, 小児科臨床研究部, 医師 (50127669)
脇 千明 広島大学, 医学部附属病院, 医員
田中 義人 広島大学, 医学部, 講師 (90116624)
WAKI Chiaki Department of Pediatrics, Hiroshima University School of Medicne
増田 裕行 広島大学, 医学部附属病院, 医員
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1988年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1987年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 神経芽細胞腫 / 癌遺伝子 / Ha-ras / Nーmyc / Ha-ras p21 / 腫瘍マーカー / Ha-ras遺伝子 |
研究概要 |
本研究では小児悪性腫瘍におけるras遺伝子形質発現と腫瘍の生物学的特性(腫瘍進展度、生命予後)を解析し、同遺伝子の形質発現が臨床における腫瘍マーカーとなりうるかを検討した。本研究期間内で神経芽細胞腫103例の免疫組織化学による検討が可能であった。一部症例では凍結保存されていた腫瘍組織を用いWestern blot法によるHa-ras p21の確認、及び、Southern blot法により癌遺伝子(Ha-ras、N-myc)の変化をDNAレベルでも検討し、以下の結果を得た。 1.免疫組織化学により検出されるHa-ras p21の発現量は神経芽細胞腫症例の生命予後と有意な相関性が認められた(n=103)。即ち、Ha-ras p21発現の多い症例では非再発生存例が多く、Ha-ras p21低発現の腫瘍症例では死亡例が多かった(Xo^2=37.111、自由度=3、P<0.001)。この関係は進展腫瘍群(ステージIII、IV、n=68)の症例でも統計学的有意性が認められた(Xo^2=11.814、自由度=3、P<0.01)。 2.凍結腫瘍組織(n=32)Ha-ras p21をWestern blot法にて確認すると同時に、Southern blot法にてHa-ras DNAの増幅、欠失を検討したが、DNAレベルでの同遺伝子の変化は認められず、転写翻訳過程での調節機構の存在を窺わせた。 3.近年報告のあるSouthern blot法によるNーmyc遺伝子増幅と免疫組織化学でのHa-ras p21発現量の予後予則因子としての有用性を同一腫瘍で比較検討した(n=43)。Nーmyc増幅は12例(全例死亡)に見られたが、死亡症例22例中12例(55%)であった。一方、Ha-ras p21低発現の22症例中19例(86%)が死亡例であり、Ha-ras p21高発現の21症例中18例(86%)が非再発生存例であり、予後判定因子としてHa-ras p21の有用性はNーmyc遺伝子増幅の有無と比べ、優るとも劣らない結果であった。
|