研究課題/領域番号 |
62570481
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小山 司 北海道大学, 医学部, 助教授 (10113557)
|
研究分担者 |
松原 繁広 北海道大学, 医学部, 助手 (40142731)
山下 格 北海道大学, 医学部, 教授 (60000923)
山下 謙二 北海道大学, 医学部, 助手
市川 淳二 北海道大学, 医学部, 助手 (60184610)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1988年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1987年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | リチウム / セロトニン / トリプトファン / 5-HT受容体 |
研究概要 |
セロトニン関連の神経伝達機構および生体機能に及ぼすリチウム・トリプトファン併用投与の影響について、以下の動物実験の知見が確認された。 1.リチウムの併用によって、セロトニンの前駆アミノ酸であるトリプトファンの脳内への取り込みが促進された。その結果、脳内セロトニン生合成が促進され、セロトニン放出過程が増強した。 2.リチウム長期投与によって、5-HT,受容体数は海馬においてのみ減少し、大脳皮質で変化を認めなかった。さらに海馬5-HT,受容体数の変化は、サブタイプの5-HT_<1a>受容体数の減少によることが明らかとなった。一方、5-HT_2受容体数については、大脳皮質および海馬においても変化を認めなかった。 3.5-MeODMT,Quipazineなどの5-HT受容体アゴニストによるコルチコステロン、プロラクチン、β-エンドルフィン分泌効果、さらに5-MeODMTによる体温上昇効果、QuipazineによるWet dog shakes行動は、すべてリチウム長期投与により増強された。これらの生体機能、行動は5-HT_2受容体アンタゴニストであるKetanserinによって抑止されることから、リチウムは5-HT_2受容体感受性を増強すると考えられる。 4.5-HT_<1a>の選択的アゴニストである8-OH-DPATの体温降下作用は、リチウム群と対照群で差異を認めなかった。5-HT_<1a>に連関しているアデニールシクラーゼ系にもリチウムは変化を及ぼさなかった。以上の知見から、リチウム投与はシナプス前過程、および受容体過程の両者を介して、5-HT_2受容体関連の生体機能を増強することが明らかとなり、トリプトファンとの併用は、シナプス前過程をより効率よく促進するものと期待される。すなわちリチウムおよびトリプトファンの併用療法の基礎的根拠が確立されたといえる。今後、これらの知見に基づいて、有効性・安全性についての臨床研究に移行する予定である。
|