研究課題/領域番号 |
62570488
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 健 大阪大学, 医学部, 教授 (70028455)
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研究分担者 |
武田 雅俊 大阪大学, 医学部, 助手 (00179649)
多田 國利 大阪大学, 医学部, 助手 (80135681)
播口 之朗 大阪大学, 医学部, 助教授 (10028459)
NIIGAWA Hisayoshi OSAKA UNIVERSITY MEDICAL SCHOOL (70243227)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1988年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1987年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 慢性脳虚血動物 / MAP2蛋白 / 実験的神経原線維変化 / カテプシンD / グリア線維酸性蛋白 / アルツハイマー病 / カテプシンDグリア線維酸性蛋白 / アルツハイマー型老年痴呆 / cathepsin D / 慢性脳血流低下モデル / microtubule associated protein2(MAP2) |
研究概要 |
脳血管性痴呆のモデル動物を作製する目的のために、スナネズミの両側頸動脈に新たに考察したクリップを用いて狭搾を加えた慢性脳虚血動物を作製した。クリップ装着8週間後の実験動物の局所脳血流量は75%に低下していること、8週間の慢性脳血流量低下状態におかれた実験動物の行動については、学習能力の一つである電気ショックによる受動回避反応において成績が低下していること、形態的には海馬のCAI領域にも明かな細胞の脱落を認めず学習行動の障害は海馬の神経細胞の脱落を伴なわなくとも起こり得ること、マイクロチュブル付随蛋白の一つであるMAP2蛋白が減少していることが明らかにされた。また、神経化学的モデル動物としてウサギ脳にアルミニウムを注入することにより実験的神経原線維変化を作製したライソゾーム内酵素の活性を定量したところ、蛋白分解酵素であるカテプシンDの活性が上昇していた。カテプシンD酵素の生体内での作用を調べるために神経細胞内に存在する各種の線維性蛋白に対する作用を検討したところ、中性領域でも各種の細胞骨格蛋白を分解し、チュブリン・ニューロフィラメント・グリア線維酸性蛋白をよく分解することを明らかにした。次に、実験的神経原線維変化を生じたウサギ脳からカテプシンD酵素を分離精製しその酵素学的検討を行ったところ、実験動物から分離精製したカテプシンD酵素は、その分子量・アミノ酸組成・至適pH等に変化は認めないが、V^<max>値・K^m値が変化しており活性の低下した酵素が生じていること、および、熱に対する安定性が損なわれていることが示された。また、老化動物脳のライソゾームの安定性について、老化動物脳ではライソゾームの安定性が損なわれておりライソゾーム内酵素が細胞質中に逸脱し易い状態になっていることを明らかにした。本研究の過程で細胞骨格蛋白の中でもグリア酸性線維性蛋白(GFAP)に対する自己抗体がアルツハイマー患者血清中に存在していることが明らかにされ、この抗体価の定量が臨床での検査法の一つとして有用である可能性が示された。
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