研究課題/領域番号 |
62570564
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
塩野谷 恵彦 (塩野谷 惠彦) 名古屋大学, 医学部, 教授 (90023837)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1988年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1987年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 慢性下肢動脈閉塞症 / 下腿筋断層シンチグラム / 前脛骨筋群 / 後脛骨筋群 / 閉塞性血栓血管炎 / 塩化タリウム / 下腿切断レベル |
研究概要 |
下腿の虚血性動脈病変の診断で、塩化タリウムを静注して得たplanar像は前後方向に重なり、虚血の定性的な診断はできるが定量化には適していない。そこでSPECT像による定量化を試みた。慢性下肢動脈閉塞症の閉塞性動脈硬化症(ASO)と閉塞性血栓血管炎(TAO)の患者に対して、塩化タリウム201を3nCiを静脈内投与して得た下腿筋の断層シンチグラム、臨床症状および血管撮影所見と比較検討した。下腿の断層シンチグラムでは脛骨および腓骨の位置が読影され、これら2つの骨の中心を結ぶ線で前および後の二分画に分けると、前側が主として前脛骨動脈から血液供給を受ける前脛骨筋群に相当し、後側は主として後脛骨動脈領域の後脛骨筋群に相当した。腓骨動脈は解剖学的には後脛骨筋群に分布するが、断層シンチグラムからはその血液供給区画を特定することはできなかった。閉塞性動脈硬化症では血管造影所見とタリウム断層シンチグラムの所見はよく一致した。これに対して、閉塞性血栓血管炎では血管造影所見とタリウム断層シンチグラムの所見は必ずしも合致しなかった。しかし、動脈造影では中等大の動脈の形態学的な変化は判るが、より未梢の毛細血管、組織レベルでの障害は不明である。塩化タリウムの分布には、局所まで到達する血流量および局所でのNaーKポンプによる細胞内への取り込みが関与しているので、下腿筋のタリウム断層シンチグラムから細胞レベルでの障害の関与が示唆された。今後は、血流量のみを反映するテクネシウムでラベルした大凝集アルブミンの動注とタリウムを併用して、障害の程度を明確にする予定である。ASO、TAOともに、後脛骨筋群の取り込みが大きい傾向が認められた。断層シンチグラムではdetectorの感度、画像再構成計算上の誤差など多くの因子が関与しているため、この測定系の精度を確認する必要がある。そのために下腿に似せたアクリル製のファントムを作製し、精度を検討している。
|