研究概要 |
宇根等は61年度一般研究Cを受け, エキノコックス抗原に対するモノクロナル抗体を5種作製し, それがエキノコック病巣に特異的に結合することを組織学的に証明した. さらに62年度一般研究Cを受け, 得られた抗体5種類のうちγ-グロブリン分画がIgGの4種の抗体の精製を行なった. さらにアセトン肝末による吸収操作を施工し, 再度組織学的な差異を検討した. その結果, 4種の抗体は共に胚層, 繁殖胞に強い染色性を示すが, 角皮層, 原頭節には染色性の差異がみられることが判明した. 又, 4種の抗体はコットン・ラットの肝細胞に対して淡く染色されたが, アセトン肝末による吸収操作によりその染色性は除去された. 次に, 特に胚層, 繁殖胞に強い染色性を示した2種の抗体を用いて, イムノブロッテイング法により粗抗原との反応性を検討した. その結果, 60〜90kdの間に強いバンドの形式をみた. 宇根, 内野等はこれらの結果を1987年第23回日本肝臓学会総会において発表した. また, 内野等は肝エキノコックスの実験モデルとして原頭節を直接コットン・ラットの肝臓に移植させることにより肝病巣に孤立性の病巣を持つ肝エキノコックスモデルの作成に成功し, これを1987年肝臓第28巻第11号に発表した. 今後の計画 1.イムノブロッティング法により確認された特異性の高い抗体を用い, エキノコックス粗抗原の精製を行なう. この精製抗原を用いてELISA法によりより精度の高い血清反応のシステムを確立する. 2.ヌードマウスの体表に肝エキノコックスの病巣を作成させる. これを用い, モノクロナル抗体による病巣形成に及ぼす影響を検索する. さらにクロラミンT法により, モノクロナル抗体に^<125>Iを標識し, メードマウスの病巣への集積性などを検討する.
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