研究分担者 |
小林 一博 東京大学, 医学部(病), 医員
安原 洋 東京大学, 医学部(病), 医員
永嶌 嘉嗣 東京大学, 医学部(病), 医員 (80198324)
間辺 俊一郎 東京大学, 医学部(病), 医員
重松 宏 東京大学, 医学部(病), 助手 (40134556)
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研究概要 |
犬を用いた実験で, 腹腔内多臓器(肝, 膵, 小腸, 大腸)を同時入手, 潅流保存することが, 手技的に可能であることが確認された. 潅流液を変化させて1時間の多臓器同時潅流を行った実験では次のことが知見として得られた. 1.フルオロカーボン乳剤では10%の濃度に比し, 20%の濃度で血管症の潅流中の減少を示唆する所見があり, 高濃度での微小循環害が考えられた. 2.腹腔内臓器血流再開(移植終了血流再開を想定)では, フルオロカーボン乳剤, ラクテートリンゲル液, 希釈血流いずれの群も全身血の代謝性アミドーシスが亢進するが, 希釈血液, フルオロカーボン乳剤, プロスタグランジン誘導体添加ラクテートリンゲル液で軽度に抑制された. 3.腹腔内臓器潅流中の肝障害を血流再開時の全身血中GOT, GPT値で検討したが, ラクテートリンゲル液群が最も著明でフルオロカーボン乳剤, プロスタグランディン添加でその上昇が抑制された. フルオロカーボン乳剤では酸素運搬能を有することが知られていることから, プロスタグランディンI_2誘導体添加による肝障害抑制は異った機序によると思われた. 4.実験後14日目の生存率による保存臓器の全体としての保存状態の良否の判定は, 低濃度フルオロカーボン乳剤, プロスタグランディンI_2誘導体添加ラクテートリンゲル液, 希釈血液が良好であった. 死亡犬では血性腹水を認める例が多く, 特に高濃度フルオロカーボン乳剤では全例48時間以内に血性腹水で死亡した. 以上より臓器保存における潅流液は酸素運搬能, プロスタグランディンI_2誘導体添加が有用であると思われたが, 酸素運搬能を有する潅流液にもなお改善の余地があるものと思われた.
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