研究概要 |
ヒト固型腫瘍の発育, 増殖に会するインターロイキン2の抗腫瘍効果をヌードマウスをモデル動物として検討することを目的として本研究を開始した. 無菌的に手術的に摘出されたヒト固型腫瘍し主に乳癌)をヌードマウスの背部皮下に移植し, 継代移植可能なものを選出することから研究に着手したが, 継代移植可能な腫瘍がなかなか得られず, ヌードマウスの死亡率も高度であった. これには当施設に於いては完全な無菌室が使用できず, そのために細菌汚染による死亡が多いものと考えられた. 以上の事情によりヌードマウスの使用を断念し, モデル動物をラットに変更して化学発癌の初期におけるインターロイチン2の抗発癌作用を検討することに研究を変更した. 現在, ウィスター系ラット40匹を用いて, 1群:無処置群10匹, 2群:ジメチルヒドラジン20mg/kg, 週1回投与16週, 及びインターロイキン皮下注1回/日, 16週, 3群:ジメチルヒドラジン20mg/kg週1回投与16週及び, インターロイキン2皮下注, 9週目より1回/日 8週間, 4群:ジメチルヒドラジン20mg/kg週1回投与, 16週のスケジュールで化学発癌に対するインターロイキン2の効果を検討中である. 実験終了時まで結果が分らないため現時点では結果を示すことはできないが, ジメチルヒドラジン投与によりラットの大腸に高率に発癌がみられることより, 第2群及び3群のラットで発癌率の低下が認められれば, 発癌の初期の時点に於て, インターロイキン2が, その発癌の抑制作用を有することが示唆されるではないかと考えている. また実験終了時には種々の免疫学的アッセイ及び病理組織学的検討を加える予定である.
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