研究概要 |
1.体外衝撃波砕石術Extracorporeal shock lithotripsy(ESWL)を1986年3月からの約2年間に850症例(940回)の上部尿路結石患者に施行し, 治療の実際と問題点を明らかにした(1). パーソナルコンピューター(NEC9801VX41)を購入し, dBASEIIIを用い結石患者を登録し, 治療成績(1-3, 7)腎機能, 組障害度の推移(4-6, 8)を調べ報告した. 2.尿管結石破砕率の上昇, 砕石率は腎結石98.8%, 尿管結石93.6%であった. 尿管カテーテル操作により結石を腎孟へもどすと, 砕石率は向上し(押しあげ100%, 非押しあげ91%), 必要衝撃波数は減少した(2, 3, 7) 3.尿管留置ステントの効果 大結石では砕石片の尿管堆積(stone street)が起りやすく術後合併症が多い(2). ステントの留置はstone streetの形成と合併症を減少させ, 在院期間は短縮された(8). ステント併用により大結石特にサンゴ状結石のESWL分割複数回治療が可能となった(東海林他:日泌76回総会) 4.ESWLの臓器組織への影響 ESWLは軽度ながら有意の溶血と筋組織障害を起こす. 尿中B2 microglobulinとN-acetyl-B-D-glucosaminidaseの増加は尿細管の障害を示し, 腎機能は一過性に減少した. 肝への障害も明らかにされた. 変化は殆んど全て3週で回復した(5, 8). RIレノグラフィーの因子分析からESWL直後に腎の治療部位での血流量の低下が示された(金村他:日泌76回総会発表予定). 5.腹臥位ESWLにより骨盤骨に重なる尿管結石の砕石が容易となり適応部位が拡大された(北原他, 日泌第453回東京地方会1988.1). 内視鏡敵結石除去術とESWLの併用により, 大結石, 腎サンゴ状結石の治療が安全かつ容易となった(5). 前者はESWL後の合併症治療に不可欠でその役割は大きい. 6.ESWLの単独又は併用療法らより全ての上部尿路結石が治療可能となった. 本法の有効性, 安全性は本研究からも明らかで, 治療の第一選択たりうることが立証された.
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