研究概要 |
ブタ卵胞液中に含まれる顆粒膜細胞の増殖と機能を制御する因子(SI)を限外濾過及びSephadex G-25のゲル濾過により分離精製した. (1)FSH及びtestosterone(T)存在下, ラット顆粒膜細胞単層培養系を用い, estradiol(E)生成に対するSIの影響さらに(Bu)_<2C>AMP及びFolskolin存在下でE生成増加時のSIの作用を検討した. この結果SIの1分画(SI-1)がいずれの場合にもE生成を有意に抑制した. またこの培養系でcAMP含量を測定したら, 細胞中・培地中ともにSI-1により有意な低下を認めた. 以上のことからSI-1はAromatase(A)活性, 及びAderylate cyclase活性を低下させる作用があると示唆された. (2)無血清培地を用いたラット顆粒膜細胞培養系とヒト胎盤由来Microsomeを用いた系において, 基質としての^3H標識Tが芳香環化されて生じる^3H_2O計測により, SI-1のA活性抑制をさらに検討した. Microsomeを用いた系では, 時間及び容量依存性に^3H_2O生成を抑制した. MiliQ純水を用いて, 無血清培地での顆粒膜細胞培養を成功させたが, この系においてもSI-1は有意にA活性を容量依存性に抑制した. (3)顆粒膜細胞増殖抑制因子は, SIの低分子分画に存在した. (SI-2)石川細胞(ヒト子宮内膜癌株)及びHela細胞(ヒト子宮頸部腺癌細胞株)を用いて^3H-thymidine添加により, その取り込みに及ぼすSI-2の影響を検討した. その結果, SI-2は両細胞株ともに^3H-thymidineの取り込みを有意に抑制し, 増殖抑制作用が示唆された.
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