研究概要 |
1.正弦波頭部傾斜運動おける動的反対回旋の計測 電動式頭部傾斜装置を試作し,3名の正常被験者に0.16Hz〜1.33Hzの周波数で振幅5゚〜20゚の正弦波様頭部傾斜運動を負荷させCCDカメラで眼球運動を撮影し,ビデオ画像解析でそれぞれの刺激条件の動的反対回旋の利得と位相を検討した。その結果,(1)動的反回旋は頭部傾斜を代償する方向へ向かう,ゆっくりした回旋運動(緩徐相)と,逆むきの速い回旋運動(急徐相)から構成されることが認められた。(2)反対回旋の振幅は周波数が高いほど大きくなり,±20゚,0.66Hzでは平均16.8゚を示した。(3)周波数が高いほど急速相の頻度,振幅,速度が増大する所見が認められた。(4)刺激周波数の増加に伴い眼球反対回旋の利得が増加した。 2.眼球反対回旋の動特性に関する研究(コンタクトレンズマ-カと画像計測装置を用いた回旋運動計測システム) 生理食塩水で飽和したソフトコンタクトレンズを装置し,レンズの膨潤作用で角膜に接着させ,レンズ上に印した2個のマ-カをCCDカメラで撮影し(30Hz),コンピュ-タ,イメ-ジプロセッサによるビデオ画像解析で1画面毎にマ-カの追跡と,図心の座標計算を行い,回旋運動の時系列波形を検討した。その結果,(1)ソフトレンズのずれは検出されず,レンズによる生体侵襲はなかった。(2)計測システムの誤差は静止状態,回旋運動中ともσ=0.88゚以下であった。(3)眼球回旋運動計測の実時間処理を実現した。 3.今後の展開 あらゆる眼球運動計測に,ソフトレンズマ-カ方式,とビデオ画像解析を用いた実時間間処理システムを応用させたい。
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