研究概要 |
ビタミンD_3は生体内で25位ならびに1α位に水酸化を受け, 1α25-ジヒドロキシビタミンD_3となって初めて活性を示すようになる. この2つの水酸化のうち, 25・位の水酸化は肝臓で行われる. ビタミンD_3は25・位に先に水酸化を受けなければ1・位に水酸化を受けることが出来ない. 25・位の水酸化は肝臓のミクロソームならびにミトコンドリアに含まれるチトクロームP-450という一群の酵素系によって触媒される. 本研究ではビタミンD_3の25・水酸化に関与する酵素系の精製ならびにその性質の解明を目指している. 我々は既に, ラット肝臓ミクロソームにあるビタミンD_3・25水酸化酵素を活性にもとづいて精製し, それが雄ラットにのみ含まれるチトクロームP-450hと同一の分子量を持つのみならず, その一次構造もアミノ末端側の8番目までは同じであることを明らかにした. 本年度はさらに研究を進め, 以下の事を明らかにした. 1. ラット肝臓ミクロソームのP-450cc_<25>に対するモノクローナル抗体を3種類作成し, 免疫化学的にもP-450hとP-450cc_<25>は, 区別出来ないことを明らかにした. 2. P-450hのCDNAをイースト菌に導入し活性発現を行った結果, P-450hとP-450cc_<25>は別個のチトクロームであることを確定した. 3. 雌ラットに含まれるビタミンD_325水酸化酵素を部分精製し, それが雄のP-450cc_<25>5とは酵素化学的にも免疫化学的にも全く異なるものであることを明らかにした. 4. ラット肝臓ミトコンドリアよりビタミンD_3の25・位を水酸化するチトクロームP-450を高度に精製し, その酵素化学的性質を明らかにした.
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