研究概要 |
イヌ及びラット顎下腺房細胞におけるplatelet activating factor (PAF)をもちい,PAFの生合成について検索し,以下の成績を得た。 1.アセチルコリンと共にインキュベ-トした腺房細胞ではムチン分泌が促進されると同時に血小板凝集活性を有する物質が抽出された。この物質の血小板凝集作用はPAF拮抗薬であるBN 52021の前処置により拮抗された。またphospholipase A_2,Phospholipase Cを作用させることにより消失した。これらの成績から,この物質はPAFと考えられる。 2.アセチルコリンは濃度依存的にPAFの産生を高めた。このPAFの産生はきわめて早く,30秒後には有意に増加し,1分で最大に達し,以後30分まで持続した。PhenylmethylsulfonylfluorideはACH刺激及び非刺激細胞でのPAF蓄積を著明に高めた。ACHによるPAF産生と[^<14>C]ーarachidonic acidの遊離は細胞外液Ca^<2+>濃度に依存していた。 3.アセチルコリンにより増加したPAFは反応液中には遊出せず,ほとんどが細胞内に貯留していた。 4.IonomycinはPAF産生を著明に促進した。Digitoninーpermeabilized cellsにおいてCa^<2+>(300nM以上の濃度)はPAF産生を促進した。イソプロテレノ-ル,ノルアドレナリンではPAF産生促進はわずかであった。 5.アセチルコリンは[^<14>C]ーacetateの腺房細胞への取り込みを軽度促進した。 6.LysoーPAF: acetylーCoA acetyltransferase及びDTTーinsensitive cholinephosphotransferase活性はAChにより促進された。両活性の促進はPAF産生が長時間持続するにもかかわらず一過性であった。 以上,腺房細胞は,刺激に応じてPAFの産生が促進されることが明らかになった。このPAF生成はアセチルコリンに対する特異的な反応であることが示唆された。
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