研究概要 |
1.モノクローナル抗体(Mab)を用いた免疫組織学的研究-ウシ未萌出歯髄コラゲナーゼインヒビター(CI)に対するMabによる染色像は, 歯髄細胞の細胞質内およびマトリックスのコラーゲン線維に沿って陽性反応を示した. ヒト歯髄でもウシの場合とほゞ同じ所見であった. 電顕的には, ヒトの場合, 歯髄細胞の細胞質にほゞ瀰漫性に, また細胞膜に沿って比較的強い反応が見られた. 粗面小胞体の内腔は必ずしも強い反応を示さなかった. 細胞間マトリックスの反応は, 不定形, あるいは, 小顆粒状を呈し, コラーゲン線維を囲むように存在していた. 2.Mab-セファロース4Bアフィニティーカラムを用いて, ウシ歯髄培養液中のCIのみを特異的に吸着させた. その溶出画分はSDS-PAGE上で単一バンド(分子量32K)を示し, ワン・ステップでCIを単一な状態まで精製できることを明らかにした. 3.CIのサンドイッチ酵素免疫測定法(SEIA)-前述したヒトと交又反応する4種のMabのうち, 抗原上の異なったエピトープを認識する1組のMabを用い, 一方を1次抗体として固相に, 他方をFab-ペルオキシダーゼとして2次抗体に用いてSEIAを確立した. この方法は極めて高感度で, ウシCIでは1pg, ヒトCIでは1.5pgが定量限界である. この定量法を用いて種々ヒト正常体液についてCIを測定し, 血清で183±30ng/ml(平均±SD), 血漿62±12, 脳脊髄液60±13, 羊水1,780±969, 尿7±8などの値を得ている. 現在, さらに種々疾患時の血清について検索中である.
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