研究概要 |
Bis-GMAとTEGDMAが重量比で3:1のレジンに、0,22.4,39.5,50.3,63.5,69.5,71.1vol%の石英フィラーを含有する光重合レジンを用いて、光重合レジン修復の辺縁封鎖性に及ぼすフィラー含有量の影響について検討した。その結果、重合収縮率、吸水量、吸水膨張率、熱膨張率はフィラー含有量の増加に伴い直線的に減少した。ウシエナメル質に対する剪断接着強さは、フィラー含有量が63.5vol%まではフィラー含有量の増加と共に増加したが、それ以上含有させても、有意な増加は見られなかった。応力緩和について引張試験で調べた結果、5分後の応力緩和率は約20〜50%であり、24時間後の応力緩和率は約45〜70%であった。フィラー含有量に関係なく、充填直後に仕上げやサーマルサイクリング負荷(以下TC負荷)を行うと、辺縁封鎖は不良となり、仕上げだけを行った場合、辺縁封鎖は良好であった。水中浸漬1日後に仕上げ及びTCを負荷すると、フィラー含有量が39.5vol%以下のレジン修復歯では辺縁漏洩か、フィラー含有量が50.3vol%以下のレジン修復歯ではエナメル質の亀裂の発生が増加した。3カ月間水中浸漬してからTCを負荷すると、1日間水中浸漬後にTCを負荷する場合と比較して、フィラー含有量の少ないレジンにおいても辺縁封鎖が良好になることが示された。 以上の結果より、光重合レジンV級修復の辺縁封鎖性には、照射直後ではフィラー含有量の増加に伴い変化する重合収縮率の大小よりも、重合収縮により生じた応力が大きく関与しており、1日経過後では応力は大部分緩和され、主として歯質との熱膨張率の差が辺縁封鎖性に影響することが示唆された。また3カ月間水中浸漬した場合には充填物が吸水により膨張し、フィラー含有量の少ないレジン修復歯においても熱膨張率の影響を受けにくくなり辺縁封鎖が良好になることが示された。
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