研究概要 |
生体内低分子有機化合物である補酵素分子のエシェンシャルを抽出し, その構造と機能に近づくあるいはそれを超える分子の開発とその分子設計を目的として本研究を行ない以下に挙げるいくつかの成果を得た. 1.電子欠損状態にある共役二重結合を有する含窒素化合物の設計を行ない幾つかの機能性を有する化合物の合成を行った. そのうち5-アリールバルビツール酸誘導体は簡単な構造であるにもかかわらず極めて優れたアルコール, 特にアリール, ベンジルアルコールに対する酸化能力をもつことが判明した. 更にこの誘導体はチオールのジスルフィドへの酸化にも有効でありこれを利用して非対称ジスルフィドの新規合成法の開発に成功した. 1.種々な電子及び立体状態にある5-デアザフラビンの一群の化合物の設計と合成を行ないそのうち軸不斉をもつ5-デアザフラビン誘導体はある種のカルボニル化合物に対して予備的ではあるが高い光学収率でもって不斉還元を行う能力を有することが判明した. 又, 一連の軸不斉を有する化合物のredox及び熱に対する光学的挙動を検討した. 1.光学不活性なモデルを用いて光学活性な金属触媒存在下不斉還元を検討し幾つかの興味ある知見を得た. 1.redox補酵素F420の全合成研究を完結したが, その際数多くの補酵素モデルとなり得る化合物の合成が出来た. これらの化学的機能については現在検討中である.
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