研究概要 |
1.肉花雪胆、藤三七雪胆及び翅子羅漢果の配糖体:雲南で採集されたウリ科肉花雪胆の塊茎より、2種の既知ククルビタン系トリテルペンの他に8種のククルビタン系配糖体を分離し、カルノシフロシド-I〜VI(CーI〜VI)と命名した。これらの構造をNMR,MS,及び化学的方法を用いて決定した。 雲南で採集された近縁の藤三七雪胆の塊茎より、7種の既知ククルビタン系トリテルペンの他、14種の本系統の配糖体を分離した。そのうち2種はククルビタシンーIIグルコシド、ジヒドロククルビタシンーFグルコシドと同定され、4種は既に肉花雪胆より得られていたCーI〜III、V、VIと同定された。残る7種は新ククルビタン系配糖体で、スカンデノシドーR1〜7(SーR1〜7)と命名され、それぞれの構造が決定された。 以上のうち、11αーOH体のCーV、VI、SーR6は甘味を、11ーケトン体のCーII、III、IV、SーR5は苦味を示した。一方、糖の数の少ないCーI、SーR1〜4は11ーケトン体でも味を示さず、11βーOH体のSーR7も無味であった。 中国西双版納で発見されたウリ科翅子羅漢果より、本系統の甘味配糖体を分離し、そのうち2種は既に羅漢果より得られていたモグロシドV、IVと同定された。2種は新配糖体で、モグロシドーVの11ーケトン体、3ーゲンチオビオシド部がβーグルコシドとなったものをそれぞれ構造決定された。 2.味と構造との相関:以上の天然物及びそれから誘導された多数の化合物について考察が行われた。A)味の発現には3個以上のグルコースが必要である。B)11位の酸素官能基は味に重要な意義をもつ。11αーOH体は甘味を、11ーケトン体は苦味を強める。11βーOH体は無味である。C)グルコースの増加は甘味を増大させる。このことは11ーケトモグロシドが甘味を示すこと及びCーIIIに酵素的糖転移を行うとグルコースの増加に伴って、その苦味が減少することなどより確かめられた。
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