研究概要 |
AICARの誘導体として, その5位アミノ基を炭素官能基に置き換えた化合物を合成すべく, 〓および〓の5位リチウム化を検討した. 化合物〓をLDAでリチウム化した後, ヨウ化メチル蟻酸メチル, 炭酸ガスを親電子試剤として用いた. 2位のリチウム化を防ぐ目的で導入されたクロル原子を接触還元により除去し, 糖部分の脱保護を経て目的とする〓〜〓を合成した. 化合物〓のリチウム化では, 1´, 2´不飽和体を生成する副反応が起ることが後に確認され, 〓を用いるリチウム化に変更した. この方法により5ホルミル体を合成し, Wittig反応を経由して目的物〓および〓を得た. 化合物〓には, マウス白血球細胞L5178Yの増殖阻止活性が認められた. 更に〓に, 抗生物質であるブレジニンと類似の細胞性免疫抑制作用が認められたことは興味深い. プリンヌクレオシドの2位置換体については, 現在迄の所実用的な合成法を確立するに至っていない. しかしながら〓や〓を用いて検討した結果, 〓をリチウム2.2.6.6.-テトラメチルピペリジドでリチウム化しジフェニルジスルフィドと反応させた時にのみ, 〓が41%の収率で生成することを観察した. 本研究の過程で, 親電子試剤としてトシルクロリドを用いるとプリンヌクレオシドの8位クロル化が効率良く達成できることを見い出し報告した. ワイオシンの合成に関しては現在も継続中であるが, イミダゾールユニットの位置選択的縮合に問題を残している.
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