研究概要 |
L-酒石酸より導かれたホモキラルな (S) -3-ベンジルオキシ-1〓エンと環状ニトロンの不斉1,3-双極子環付加反応は、インサイドアルコキシ遷移状態を経由する反応経路が優先し、 (2R,3aS) -イソキサゾリジン誘導体を体選択的に生成することが認められた。本付加成績体は4行程を経て光学的に純粋な (-) -コニインへ導かれた。さらに、非環状 (E) -ニトロンと上記 (S) -アリルエーテルの環付加反応においても同様にインサイドアルコキシ効果に基づく立体選択性が認められ、 (3R,5R) -トランスイソキサゾリジン誘導体は、アルキル鎖伸長反応及び立体選択的分子内閉環反応を経てファラオ蟻の追跡フェロモンの一種である (+) -モノモリン Iへ誘導された。 以上の研究によって確立した不斉誘起に関する方法論は、他の類似構造を有するアルカロイド (例えば (-) -ゲフィロトキシン 223AB) のエナンチオ選択的合成に適用することが可能である。
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