研究課題/領域番号 |
62571003
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 広島県立大学 (1989) 国立予防衛生研究所 (1987-1988) |
研究代表者 |
三羽 信比古 広島県立大学, 生物資源学部・生物工学講座, 助教授 (00142141)
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研究分担者 |
水野 左敏 (水野 佐敏) 国立予防衛生研究所, 抗生物質部, 部長 (60072930)
松野 哲也 国立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 室長 (30109970)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1989年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1988年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1987年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 脳神経系 / 個体発生 / プログラム細胞死 / 抗がん因子 / 神経芽細胞腫 / グルタミン代謝 / 分化誘導 / 抗がん作用 / 脳由来蛋白質 / 細胞増殖抑制因子 / 個体発生途上産生物質 / 神経芽腫細胞 / 分化促進作用 / リセプタ結合 / 蛋白質の精製 / 癌細胞選択的致死作用 / 高性能液体クロマトグラフィ / 糖鎖部分 |
研究概要 |
個体発生過程でプログラム死の起こる出生前後マウス脳から抗がん因子NBCF(62kDa,pI9.1)が分泌され他の時期や他の器官からは分泌されないことを我々は見出だした。(1)新生期マウス脳から各種HPLCでNBCF90pmoleを純化し、N端近傍アミノ酸配列を14残基決定し、既知蛋白質でないことを確認した。活性本体は蛋白質であり、活性安定性と細胞外分泌とに関与する糖鎖を含むことを示した。(2)NBCFによる細胞増殖抑制は正常2倍体細胞よりも各種がん細胞に対して選択的で、なかでもグリア芽腫・髄管芽腫・上衣細胞腫などの脳腫瘍に有効で、特に神経芽腫細胞に顕著な抑制効果を示すが、これらの投与量よりも微量で、脳のプログラム死が起こる胎生末期の正常神経細胞に致死作用をもたらした。同時に分泌される腫瘍細胞選択的な増殖促進因子などを除去した粗製NBCFは腹水癌移植マウスを延命させた。(3)NBCFの神経芽腫細胞に対する増殖抑制は不可逆的であり、1ー6時間の細胞接触だけでも作用発現が見られる。神経芽腫細胞は分化誘導されて神経突起を生じるに伴いNBCFへの感受性が低下して増殖抑制作用を受け難くなるが、これには予め細胞内での蛋白質合成が不可欠であった。(4)新生期ブタでもプログラム死の顕著な大脳で下垂体や嗅球を除いた部域からNBCF様物質が分泌されるが、この時期にプログラム死を起こさない小脳からは分泌されなかった。(5)新生期マウス脳によるNBCF産生はグルタミン添加でのみ増大し、この増産は転写段階でのプリン塩基供給にグルタミンが律速因子として関与するためと示唆した。グルタミン関与の原因は、新生期マウス脳が成熟期と比較して、グルタミンシンセタ-ゼ活性が著減しているのに対し、プリン塩基生合成酵素であるグルタミンーPRPPアミドトランスフェラ-ゼもGMPシンセタ-ゼも高活性で、新生期脳の細胞質ではグルタミン合成活性が低く分解活性が高いというグルタミン不足状態が成立するためと示唆した。
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