研究課題/領域番号 |
62571005
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
小島 朝人 国立予防衛生研究所, 病理部, 主任研究官 (30100077)
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研究分担者 |
斉藤 晴一 国立予防衛生研究所, 血液製剤部, 主任研究官 (80072883)
千葉 丈 国立予防衛生研究所, 病理部, 室長 (30100085)
田村 慎一 国立予防衛生研究所, 病理部, 室長 (20100084)
倉田 毅 国立予防衛生研究所, 病理部, 部長 (50012779)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1988年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1987年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | B型肝炎ウイルス / 遺伝子組換え / ワクチニアウイルスベクター / 表面抗原遺伝子発現 |
研究概要 |
前年度報告した、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)遺伝子が組込まれた組換えワクチニアウイルスをウサギ腎初代培養細胞で連続継代して、遺伝的安定性・挿入遺伝子発現の安定性をHBsAgDNAプローベ、抗HBsAg抗体プローベを用いて検討した。その結果、ウイルスの継代温度(37℃、30℃)に拘らず組換えウイルスは10代継代後においても初代株と同質のHBsAgを発現し、ワクチニアウイルスゲノム中に組込まれたHBsAg遺伝子の欠失・欠損は見出されなかった。次に組換えワクチニアウイルスを動物皮内に接種したところ、接種皮内でのワクチニア抗原の分布にほぼ一致してHBsAgの分布が蛍光抗体法により観察された。これらの動物では接種4日目には100mIU/mlを越える抗HBs、抗体価が誘導され、長期間抗体価が持続していた。他方、組換えウイルス脳内接種による中枢神経系の病変は、弱毒非組換え痘瘡ワクチンウイルス株と同等か、さらに弱いものであった。これに一致して、組換えウイルス接種群の脳内ウイルス感染価は非組換えウイルス接種群より低い傾向が認められた。以上の結果から、遺伝子組換えワクチニアウイルスは親株である痘瘡ワクチン株より病原性が低く、挿入遺伝子を安定に保持・発現し、しかも良好な免疫原性を発揮するためワクチン利用への可能性が示唆された。 一方、高等動物細胞の表面抗原であるThy-1遺伝子(cDNA)の細胞外ドメインのみとtransmembrane(TM)ドメインを含む完全なcDNAをそれぞれ組込んだ組換えワクチニアウイルスを作製してThy-1抗原発現を比較したところ、TMドメイン欠失cDNAからは抗Thy-1抗体と反応する産物は検出されず、TMを含むcDNA組換えワクチニアのみ抗Thy-1抗体と反応した。発現されたThy-1抗体は感染細胞表面に分布することから、Thy-1の抗原性発現にはTMドメインが重要な役割を果たしていることが示唆された。
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