研究課題/領域番号 |
62571100
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
古田 隆 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (70120152)
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研究分担者 |
粕谷 泰次 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90096686)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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キーワード | ヒスチジン / ウロカニン酸 / ヒスチダーゼ / 安定同位元素 / GC-MS / ヒスチジン血症 / 酵素反応機構 / 脱アミノ化反応 |
研究概要 |
Histidine ammonia-lyase (ヒスチダーゼ) はL-ヒスチジン (His) からウロカニン酸 (UA) への非酸化的脱アミノ化反応を解媒する。ヒスチジン血症は本酵素の欠損により、この過程が障害されている先天性代謝異常症である。安定同位体トレーサー法によるヒスチジン血症の診断法確立過程で安定同位元素 (SI) 標識HisおよびUAの合成法を開発した (昭和61年度) 。投与用の候補として2種類のSI標識His (〔β、β、5-^2H_3、3-^<15>〕Hisと〔β、β-^2H_2、1、3-^<15>N_2〕His) 、GC-MS分析の内部標準物質として〔α、β、5-^2H_4、1、3-^<15>N_2〕His、さらにSI標識UAとして、〔β、5-^2H_2、β-^<15>N〕UAおよび〔α、β、5-^2H_3、1、3-^<15>N_2〕UAをそれぞれ合成した。次にヒトへのSI標識Hisの投与を前提に、血中のHisとUAいずれも注入量で50pgであり、Hisの分析においてはintraassayとしてCV=2.5〜3.9%、interassayとしてCV=1.1〜1.4%また予測値との相対誤差は5%以内という高い分析精度を提供した。さらに血中からのHisとUAの抽出・精製、GC誘導化法の一連操作を共通化することができたことから、HisとUAの両者について、投与由来 (標識体) と内因性由来のものとを区別しながら同時定量できることを明らかにした。次に投与用のSI標識Hisを基質としてヒスチダーゼ (Pseudomnas fluorescens) による (in vitro) 、Hisのアミノ基脱離反応機構を明らかにした (昭和63年度) 。〔β、β、5-^2H_3、3-^<15>〕Hisを基質とした時、代謝物UAの5位重水素が40〜50%程度脱落したことから、本代謝反応はβ〜5位に非局在化したカルバニオン中間体を経るstepwise機構で進行することが明らかとなり、従来の協奏反応機構説は否定された。この知見は、ヒスチジン血症患者におけるheterogeneityの問題をヒスチジンの速度論的体内動態のみならず、代謝機構の両面からアプローチすることができることを示しておりヒスチジン血症の診断法確立に際し、重要な手がかりが得られるものと考えられる。この点は今後の研究課題である。
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