研究概要 |
1.理論仮説の構成:服装における流行現象の成立過程を, 社会構造の変化(工業化, 都市化, 大衆化, 情報化等)や生活構造の変化(所得の増大, 余暇時間の増大, 生活様式の合理化, 洋風化等), 生活意識の変化(価値観の多様化, 中流意識の高まり等)と関連づけ理論仮説を構成した. 2.作業仮説の構成:理論仮説をもとに従来の資料や文献を参考に測定可能な命題を再構成し, 統計調査および事例調査のための調査項目を作成した. 3.実査:統計調査は, 昭和62年11月〜昭和63年1月, 東北・関東・中部・近畿・中国・九州地区の高校生・大学生・独身社会人計2360名を対象に配票留置法および集合調査法により実施した(有効回収票2243票, 回収率95%). 主な調査項目は基本属性(性別・年令・所属・居住形態・出身地等), ライフスタイル特性(生活態度・生活満足度・生きがい・日常関心事・余暇行動・小遣い等), ファッション意識特性(ファッション観・ファッション行動・ファッション情報への関心度・着装態度・購買行動等)である. 事例調査は, 若者が集まる大阪の梅田と心斉橋・東京の原宿・青山・新宿の街頭で若者を対象に流行やおしゃれに対する興味や関心・好み・価値観・購買行動などについてビデオカメラを用いて面接調査法により実施した. 4.データの集計と分析:実査によって得られたデータの集計・分析には, 単純・クロス集計, 因子分析, 数量化II類, 数量化III類およびクラスター分析の手法を用いた. 5.結果と考察:若者のライフスタイルにおける個性化, ファッション化が服装のファッション化(個性化, 多様化, 流動化)を促す重要な要因になっており, 現代の若者にとってファッションは, 生活を楽しく心豊かにしてくれるもの, 気分を一新してくれるもの, 個性を表現してくれるものとして高く評価されていることが明らかになった.
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