研究概要 |
各家庭では, 流行遅れや体型にあわなくなり着られることなくタンスの底に保管されている被服-死蔵被服-が相当な数量に達しており, これを有効に利用することは家計における被服費の削減につながるばかりでなく, 省資減の観点からも重要な課題である. 本研究では, 死蔵被服の実態, 死蔵被服に関する経済的, 生態学的な観点からの意識, 他者の古着を着ることに対する態度を測定するとともに, 被服のリフォームの実態を調査することによって死蔵被服の有効な利用方法について検討した. 京阪神地区に居住する20〜70歳の女性500名を対象に郵送法によってアンケート調査した結果(有効票317), 紳士用は約20着, 婦人用は約35着の死蔵被服が各家庭で保有されていることがわかった. これらの被服は, 捨てるのはもったいない, 愛着があるなどの理由から保有されており, 着用してくれる人があれば無償でゆずりたいと考えている一方, 見知らぬ他者の古着を着るのは抵抗があると答えている人が多い. しかし, レンタルの被服(貸衣装)は約30%が利用しており, レンタルの被服は古着とは異なった見方がされていることがわかった. この結果より, 古着の利用方法の1つであるリサイクルは, 現状ではその普及がかなり難しいようであるので, リフォームを普及させることが死蔵被服活用の効果的方策であることが示唆された. 被服のリフォームを自分で行ったことのある人が45%, 業者に依頼して行ったことのある人が23%あり, 最近, 各百貨店でも被服のリフォームを扱うようになっている. 京阪神の2, 3の百貨店のリフォームの実態調査をしたところ, リフォームの費用はオーダメイドと同仕様となるためかなり高くなっている. しかし, リフォームを依頼した人は, 死蔵していた被服が再び活用されることを実際に経験することによって省資源に関する意識の高揚がもたらされるという大きな効用のあることがわかった.
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