研究概要 |
現在衣料用として使用されている石油系の界面活性剤の安全性については今だに結論がついていないが, 安全性の面で高く期待されているアミノ酸系界面活性剤を衣料用として利用する為の検討を行った. アミノ酸系界面活性剤の応用に関する研究(第2報){1968年日本繊維製品消費科学会}に発表した様に, 酸素系漂白剤と併用すると錯塩染料染色物の劣化と変退色が防止されることが明らかになった. さらに, ABS,SDSと比較して, 高硬度水溶液中で, 再汚染防止効果が著しく優れていることが明らかになった. (第3, 第4報, 1968年日本繊維製品消費科学会口頭発表於京都) これらの作用は, N-アシルアミノ酸系界面活性剤が, 各種金属イオン(Cu^<2+>,Ca^<2+>)を補足する作用(キレートカ)を有する特徴があるためであることも明らかになった. これらの金属封鎖能と前報(第1報)-1987年-で発表した様に, 脂肪酸汚れとカーボンブラック粒子の繊維よりの洗浄力も既存の界面活性剤と比較して, 遜色ないこと等から, 衣料用洗剤として, 十分応用出来ることが示唆された. アンケート調査(1984〜1987年)で, 洗浄剤による皮膚障害の現況によると, 健康女子において, 約20%の者が, 皮膚障害を訴えていることも判明した(産業医学会発表予定1988年金沢4月). これらの洗浄剤は石油系であることも判用した. 人体皮フへの安全性の評価は, パッチテストによるとSDSよりもかなり刺激性が低いことも判明した. 生分解性については, 現在検討中である. 基礎研究としてはN-アシルアミノ酸としてアラニン, リジンを用い, 側鎖の影響を単分子膜方法によるπ-A曲線により検討した(コロイド及び界面化学討論会発表, 1987年於京都)結果, 気液界面吸着挙動に, 側鎖の影響が大であることが, 明らかになったので, これを基礎データーとしてアミノ酸塩の研究を継続していく予定である.
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