研究概要 |
本研究は,体育・スポ-ツでの競争場面で生起すると考えられるいろいろなストレスが体育・スポ-ツ実施者の自我状態にどのような影響を与えているのかについて,交流分析理論の中の構造分析の一つの方法としてのエゴグラム(TEG:東大式エゴグラム)を使い、青年期(中・高・大学生:1783名)に焦点をあて検討しようとした。 1)競技スポ-ツに積極的に参加している者と競技スポ-ツに積極的に参加していない者との自我状態についてエゴグラムプロフィ-ルから比較した結果,プロフィ-ルに大きな違いがみられなかったと考えられた。しかし,中学生・高校生と大学生では,エゴグラムプロフィ-ルに違いがみられた。これらのことが,競技スポ-ツ活動によって直接影響を受けたのかについては明確でないので、継続的な観点から検討していく必要がある。2)そこで,継続的な競技スポ-ツへの積極的参加による自我状態への影響について検討することであったが,デ-タの収集率がきわめて低く,この問題に対しての方向性を見いだすことができなかった。この点は,機会を改めて検討していきたいと考えている。3)また,試合前後の自我状態について,集団,個人あるいはペアといったスポ-ツ種目別に検討した結果,試合前はストレスと感じるような自我状態を示した選手もいたが,一つの傾向を見いだすことはできなかった。また,スポ-ツ種目による一般的な傾向についてもみられなかった。このことは,技術的レベル,試合の重要度の問題あるいは試合結果等も関連している可能性もあり,今後検討していく必要性が指摘された。4)体育授業での水泳実習を取り上げ,自我状態に及ぼす影響を検討した結果,特に低泳力者はかなりのストレスを受けたと考えられる自我状態を示していた。 今後これらの研究を基盤にしながら,交流分析理論からみたストレスとスポ-ツの問題について検討していきたいと考えている。
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