研究概要 |
1.組換えフィブロネクチン(FN)遺伝子の作成. ヒトFNのC末端側の3つのドメインをコードする約3.1KbのCDNAをヒトα1-アンチトリプシンのシグナル配列をコードする約90bpのCDNAの下流にフレームが一致するように接続したのち, このキメラCDNAをSV40あるいはメタロチオネインIのプロモーター/エンハンサーをもつプラスミド発現ベクターに挿入した. 2.組換えFN遺伝子の培養細胞への導入と発現. 上述の組換えFN遺伝子を薬剤耐性マーカー遺伝子(neo)とともにリン酸カルシウム共沈法によりマウス1細胞に導入し, 外来遺伝子を安定に発現している形質転換細胞を選択, クローン化した. 得られた32個のクローンについて, 組換えヒトFN遺伝子のRNAへの転写をノザンブロット法により検討したところ, 約30%のクローンについて約3.5KbのヒトFNmRNAの発現が確認された. しかし, このヒトFNmRNAの発現レベルは受容細胞がもともと発現しているマウスFNmRNAに比べて5-30%程度であった. 次に組換えヒトFN遺伝子の蛋白レベルでの発現の有無を調べるため, ヒトFNに特異的な単クローン抗体による免疫蛍光染色およびウェスタンブロットを行なった. しかし, どちらの方法を用いても組換えFN遺伝子の蛋白レベルでの発現を確認することは不成功であった. 3.今後の課題. 導入遺伝子の蛋白レベルでの発現を実現するため, (1)より強力なアクチン遺伝子のプロモーターを利用して発現レベルを高める, (2)レトロウイルスベクターを用いて組換え遺伝子のゲノムDNAへの組込みを高める, (3)組換え遺伝子から転写されたmRNAの翻訳およびそれに続くプロセシングの効率を高めるため, シグナル配列CDNAとFNCDNAの接続部を改良する, ことを検討中である.
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