研究概要 |
超ラセンDNA形成に関与する酸素DNAジャイレースは, バクテリアに存在することが知られているが, 真核細胞ではまだ確認されていない. ジャイレースそのもの, またはDNAトポソメラーゼその活性を付与する因子を, 動物細胞で検出することを目指し, トポイゾメラーゼの精製と高感度の超ラセン検出法の確立を試みた 仔牛胸腺核抽出液よりバイオレックス・イオン交換カラム, ブルーアガロース・アブィニティカラム, ハイドロキジルアパタイトカラム, ショ糖密度勾配遠心等を用いて分離精製したI型およびII型DNAトポイソメラーゼは電気泳動的に約90%の純度と認められる. この酸素標品は共にネガティブ超ラセン構造を持つプラスミドDNAを弛緩させるが, 通常の反応条件において完全な弛緩型にはなず, アガロース電気泳動で中間位置に数本のバンドをつくる. このバンドは予想に反してポジティブ超ラセンを持った分子であることを二次元電気泳動で確認した. 別の酸素標品は同じ反応条件で基質分子を完全に弛緩型にするので, 標品の間の違いはポジティブ超ラセン構造を与えるように働く何らかの因子の有無にあると考えられる. 現在, この因子の酸素分子からの分離を疎水性クロマトグラフィ等を用いて試みている. 一方, 超ラセン形成の有無を通常の臭化エチジウム染色法よりはるかに高い感度で検出するために, トポイソメラーゼで弛緩型にしたPBR322プラスミドDNAをフォトビオチンでラベルし, 電気泳動後にニトロセルロース膜上へサザン・ブロッティングして染色する方法を検討した. 検出感度は臭化エチジウム法の場合の100倍以上になり, 微弱な超ラセン形成活性でも検出できる可能性が高くなった. 現在さらにブロティング効率向上などの技術的検討を続けている.
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