研究概要 |
理科の実験学習において個々の学習者の興味や関心に応じた学習指導がなされることが理想的である. しかし, 1人の指導者で多数の児童生徒に対して個別的学習指導を行うことは容易ではない. そこで, 本研究は個別学習を目指したワークシートの開発とそのコンピューターによる検索と学習履歴の管理も併せて行うシステムの開発を意図した. このワークシートは個別学習ばかりでなく一斉学習の授業形態でも共に活用できるもので, 学習内容からは教科書に準じた「主軸型」と発展応用的な「発展・自由研究型」とに分かれている. また, 学習タイプからは「知識理解型」, 科学的態度や思考力を身につけるための「問題発見・探究型」, 原体験や実験観察の技能の習得をねらいとした「原体験・活動・技能型」に分けてある. 本年度は, ワークシートについては「原体験重視型」と「問題発見・探究型」の開発に重点をおいて行った. 原体験型についてはこれを実践し, この評価も行い学習効果があることが明らかとなった. 問題発見, 探究型については評価までは行っていないが試行し, 改善を行っている. 学習シートのコンピュータによる検索については, 1)フロッピーディスケットをドライブに挿入すればキーボードの操作なしで立ち上がるオートスタート方式とし, 2)入力操作は選択矢印の移動と項目の選択の2つについて, ボタン操作で行えるようにした. 3)検索はツリー状構造による入力画面方式をとり, 上位項目にそれぞれ対応した下位項目が次々に表示されるようにした. これによりコンピュータの操作を知らない児童生徒にも希望する実験項目や材料を選ぶことにより検索できるようになった. 将来的にはワークシートや教材のデータベースをつくり電話回線により全国どこでもプリントアウトしてこれを使うことができるようにしたい. 本年度の研究実績は1冊の報告書にまとめ刊行した.
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