研究概要 |
集落・都市周辺農耕地に人命・財産保護を第一優先使命とする機能を盛りこむ形だ豪雨防災都市構想を検討した. 北海道, 関東, 中国, 九州について過去に豪雨災害をうけた都市集落を選択し, 国土数値情報データ, 人口衛星データ, 地形図等の画像解析を通して地形の高低評価を行い, 周辺農耕地の遊水池化可能度合やそうした場合の防災力, さらに犠牲を強いられる農耕地・農作物に対しては冠水害被害尺度等を追求した. 北海道地域では札幌市を中心に昭和50, 56年の豪雨災害を解析した. 洪水災害は同市では北部で茨戸川に創成川, 伏篭川, 発寒川が流入する地域ならびに同市郊外では石狩川沿いの低地で発生した. 国土数値情報データ解析によれば洪水地は標高1-5mの範囲であり, 非常用遊水池可能地は石狩川中流域の標高10-12mが最適と判断された. 関東地域では利根川沿いの低地を河川水位からの高さ別に集計し, 水害危険地, 遊水池候補地の判断基準データの作成に試みた. 遊水池では市街地化されていない低地をとくに算定し, 埼玉, 茨城, 千葉では水位1mをとれば合計14,314haに達することがわかった. 中国地域では主として昭和58年の山陰豪雨災害について解析した. 平坦部に対し斜面集水域が著しく大きい, 益田川, 三隅川の中・上流域では遊水池可能地は降雨を制約とした条件下で判定する必要があなり, 下流域については益田では遊水池可能域が河口近くにしかなく市街地と河川との洪水調節の分担を考慮した防災都市を考えるべきことがわかった. 九州地域では長崎, 熊本, 鹿児島での豪雨災害を対象に氾濫水量, 同面積を解析した. 低地市街地の氾濫は中小河川の洪水調節用ダムのビークカット能力不足によるものであり農耕地を利用した非常用遊水池での水量分散が必要であることを明かにした. 冠水害では水稲が出穂開始前後の冠水5日で85%の減収となる等を実験的に明らかにした.
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