研究概要 |
地震被害, 特に, 人的損傷については, 地震直後の救急や消火等の緊急活動の適否によって大きく規程される. 本研究では, これらの活動に不可欠な緊急車両網のシステム信頼性に関する基礎的研究を試みた. まず, 1)構成要素である道路の信頼性評価と, 2)それらによって構成されるシステムとしての信頼性評価に分け, それらを総合化する形で研究した. 1)では, 1-1)ISM法と判別関数をサブ・システムとする総合評価システムのコンピュータ支援システム, およびそのサブ・システムである個別評価システムの中の1-2)液状化による滑りと永久変形と, 1-3)地震火災の延焼による安全性に関する部分のレベル・アップ研究を行ない, 1-1)では, フィードバックの迅速化により, より客観性のある評価結果が得られること, 1-2)では, 埋設管とは異なり, 液状化の垂直方向での位置に無関係に影響すること, 変形の分布系は正弦波で近似できること, また, 1-3)では, 同時炎上奥行きと火炎幅が最も影響力が強く, シミュレーションによって正確に推定する必要があること, 等を示すことができた. 2)では, 緊急車両網は, 緊急車両が基地から責任地域の全ての現場に到着できることを保証するものであり, まず, 基地をソースとし, 責任地域内の主要交差点を現場(ターミナル)とする有向グラフとしてモデル化することができ, そのシステム信頼性はSAT信頼性(Sounce to All Terainel Relialility)によって定義できるとした. しかし, その計算法が列挙法となるため, 次に全点信頼性(Ouorall Relialility)の利用を実用化の工夫として提案し, i)構成道路に全て双方向使用を認めれば, SAT信頼性に一致する, ii)網が2一連結であれば, 分割法が使用でき, 計算量は1/200以下になる, iii)構成道路の信頼性が0.7以上であれば, 10%程度の乗離度であること, などを明らかにし, 金沢市を対象として適用研究を行い, その有用性を示した.
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