研究概要 |
流砂の粒径・深度・速度などの流砂量計測に超音波映像法と画像処理を用いるシステムを提案し, 市販の超音波装置を用いてそれが原理的に可能であることを示し, 更に超音波の基本的な諸特性を実測した. 本年度の研究による主な成果は, 以下の様にまとめられる. ○小形超音波診断装置(3.5MHz)の利用による流砂の映像化実験 卓上実験の流砂モデルとして容器中に寒天で固定した種々の粒径の礫・砂, 気泡などをレール上移動させ, 各種のビデオ画像を撮影した. 更に実験水路様に底部にセンサーを取付けた小形水路を製作し, 流砂の超音波映像をビデオ録画した. 更に超音波センサーの保護金属板の透過率について検討を行い, アルミ板が適することを示し, 実験水路に用いて実用の指針を得た. ○流砂の超音波映像の画像処理法の検討 上で撮影した流砂のビデオ画像の静止画を逐次計算機に入力し, 処理時間短縮のための画像圧縮, 浮遊微粒子・気泡・ノイズなどの背景雑音の除去, 砂礫表面の映像の判定, 粒径・高度の識別を行った. 動画像の処理も考慮に入れて, 投影法による砂礫の識別が処理時間も短く信頼性のあることを示した. 小粒・微粒砂の計測には別の統計的処理法が可能である. ○計算機による流砂画像の発生と信号処理のシミュレーション 確率場の理論に基づく高速アルゴリズムにより, ドリフト速度・サイズ・相関距離等の既知の流動画像を流砂画像モデルとして発生し, これにより画像処理法, 速度計測のための信号処理法などの開発・試験・改良を行った. ○流砂計測のための水中超音波の伝搬・散乱に関する基本特性の測定 濁水中の超音波特性を知るために微粒砂の粒径・濃度が既知の寒天モデルを用い, 1〜6MHzの超音波の伝搬減衰特性を測定した. 更に種々の粒径の礫に対し全散乱断面積を測定した.
|