研究概要 |
1.昭和58年7月豪雨により島根県三隅町西の谷地区で発生した崩壊→土石流→堆積に至る場所を災害直後の空中写真及び現地調査により設定した. 2.縮尺1/2,500の国土基本図を用いて10m×10mの格子を設定し, 格子点の標高を読みとり, 数値地形モデルを作成した. 3.1.の結果を2.にオーバレイし, 崩壊→堆積セルを設定した. 4.崩壊源部については現地調査を実施し, その深さを求めた. 5.流下部においても堆積土砂が認められたので, 削はくされるべき土砂として数値地形モデルに代入した. 6.3.の崩壊部から土砂を流下させ, ランダムウォークモデルにより流下→堆積のシミュレーションを行った. この際, 堆積厚のみならず, 削はく深も考慮した. この結果, 3.で設定した範囲とほぼ同様の崩壊→流下→堆積セルが出現し, 土石流によるハザードマップの作成の可能性が示された. 7.次に高橋保らにより提案されている流体モデルを用いて, 同様のシミュレーションを行ったところ, 流下部では一次元モデル, 堆積部では二次元モデルを用いると, 3.の再現性がよいことが明らかになった. 8.現有の光波測距儀及び本研究で購入したデータロガーを用いて, 西の谷地区の堆積域で現地測量を実施した. パーソナルコンピュータを用いて, これらのデータから等高線入りの地形図を描画することができた. 9.しかし, 8.の結果を用いて, 2.の結果を修正するまでには至らなかった. 今後, この修正を行い, 再度6.および7.の結果を求める予定である. 10.崩壊による保全対象物がすでに数値地形モデルに入っている六甲山〓の一試験地を対象に, 6.および7.で求められモデルを用いて崩壊リスクマップのみならず崩壊ハザードマップを作成した. これらは今後の対象に活用できるものと思われる.
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