研究概要 |
昭和57年7月長崎水害後における, 長崎市の自主防災組織の形成過程は, 地方都市における防災意識及び防災組織の定着化を評価する数少ない事例である. 災害後, 自主防災組織が次々に形成され, 梅雨期には避難訓練をはじめ様々な活動が自主的にあるいは, 行政の指導のもとに行なわれている. 自主防災組織の形成過程を災害後の市民の防災意識の変化は, 現代の地方都市における, 災害後の市民の意識と行動を分析する重要な事例であると考えられる. 本研究では, 本研究グループがこれまで実施してきた調査と共に, 自治会・自主防災組織を対象に, 防災意識, 自主防災組織の運営, 自主防災組織の展望についてアンケート調査を実施した. 調査は, 長崎市における全自主防災組織223を対象にした. 調査項目は, 次の通りである. (1)自主防災組織の現状について. (2)自主防災組織の目的と活動について. (3)災害時の対応と情報の伝達について. (4)自主防災組織の運営について. (5)昭和62年8月台風12号の対応について. この調査から, 自主防災組織について様々なことが明らかになった. 中でも, 災害時の対応については, 約7割の地区で何らかの対策を立てており, 6割が良い運営ができていると答えている. また, 6割が5年間活動できると答えている. 台風12月については, 自主防災組織の有効性が示された. 自主防災組織の活性化のために,映画・スライド等の映像資料が要望されており, 研究機関の課題として, このような資料の製作に取り組みたい. 本研究では, 長崎県下の長崎市, 平戸市, 佐世保市, 諌早市および長与町の調査を行なった. 長崎市については, 昭和57年長崎水害以降の自主防災組織の育成および防災無線の活用法等について調査を行った.
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